商人・預言者・ゴリラ・王 Profits, Prophets, Gorillas, and Kings: (When) Do Gorillas Matter?
王、商人、預言者、そしてゴリラ。四つの役割が場ごとに円卓を巡る、2〜4人用のカードゲームである。競り上げられた札の山は、最後に札を出した者がすべて手にする。ただ一頭、ゴリラだけは色の制約に縛られず、切り札シルバーバックをもって場を一挙に制する。英雄が歴史を動かすのか、それとも力が動かすのか。ジャレド・ダイアモンドの問いを、卓上で検証する。
全4局・16場。所要時間は札で約30分、アプリで15分以内。
BOARD GAME SHELF
題名の出典、および「王」「英雄」「遊び」をめぐる古典を挙げる。
元ネタ
ジャレド・ダイアモンド/土方奈美 訳、日経BP。副題は「リーダーは本当に歴史を動かすのか」。原題は Profits, Prophets, Coaches, and Kings: (When) Do Leaders Matter?。本作の題は原題の「指導者」を、副題は「リーダー」を、いずれも「ゴリラ」に置き換えたものである。
Amazonで見る ↗王
フランス・ドゥ・ヴァール/西田利貞 訳、産経新聞出版。動物園のチンパンジーの群れにおいて、いかにして「王」の座が奪われ、また失われるのかを記録した観察記。政治は人類に先立つ、との知見は、王とゴリラとを結ぶ一本の線となる。
Amazonで見る ↗英雄は歴史を動かすか
トルストイ/望月哲男 訳、光文社古典新訳文庫。ナポレオンのごとき英雄が歴史を動かすのではないと、作中で論じた大著。 (When) Do Leaders Matter? に対する、150年前の回答である。
Amazonで見る ↗遊びの本
ロジェ・カイヨワ/多田道太郎・塚崎幹夫 訳、講談社学術文庫。遊びを「競争(アゴン)」「偶然(アレア)」などに分類した古典。先の役割を読む計画と、配られる札の偶然。本作はこの二つの原理の上に成り立つ。
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どんなゲーム
札は貨幣・聖典・冠・ゴリラの4スートからなり、同じ数字が2枚ずつ存在する。数字はそのまま強さであり、得点である。このほか、同数の欠けを補うバナナ4枚と、ゴリラの切り札シルバーバック1枚を加える。
四つの役割は円卓に配され、場が終わるたびに時計回りに隣席へ移る。1局は4場からなり、各人は王→商人→預言者→ゴリラの順にすべての役割を一度ずつ担う。預言者の次は、ゴリラである。
先導は1枚、連番(冠4・5・6)、同数(4・4・4)のいずれかで行う。以後は順に、同じ形・同じ枚数で同じ色の上位の数字、または同じ数字(色を問わない)を重ねていく。
ゴリラは数字が上であれば色を問わず重ねることができる。シルバーバックを出せば、その場は即座にゴリラに帰し、さらに他の全員から、得点札のうち最大のゴリラ札を1枚ずつ徴する。用いられたシルバーバックは山札に還り、再び誰かの手に渡る。ゴリラの手番は常に最後である。場が膨らむのを見届け、そのすべてを奪う。
得点となった札は二度とゲームに戻らない。局を重ねるごとに山札は痩せ、終局に近づくほど手札は細る。
あそびかた
能力は、その場でその役割を担う者にのみ与えられる。加えて、二枚の特別な札がある。
王
場の最初に先導する。1枚か、連番か、同数か。場の形を定めるのは王である。
王は遊戯を律す。峻厳なる掟は民を慄かしめ、寛容なる掟は巨万の富を生む。されど其の富、他者の権勢を肥やすやも知れず。
商人
場を取れなかったときは、分配に先立ち場の貨幣のうち最大の1枚を得る。取引の果実は勝者に帰しても、手数料は商人の手に落ちる。
商人は誰が王たるかを問わず。其の眼に映るは己が懐のみ。誰が覇を唱えようとも、手数料たる一枚は必ずや其の掌中に落つ。
預言者
先導に先立って自分以外の一人を名指す。名指された者はシルバーバックを、なければ最も大きい数字の札を伏せて差し出し、預言者は受け取った札以外の1枚を返す。
預言者は真なる王を名指す。其の者の最も尊き宝は神の御名の下に召し上げられ、代わりに預言者の選びし一品が下げ渡さる。
ゴリラ
1枚であっても、数字が上であれば色を問わず重ねられる。シルバーバックを出せるのはゴリラのみである。
ゴリラは秩序を解せず。ただ強き者のみが頂に立つ。其の徴たるシルバーバックは、飼い慣らされし同胞に野生を呼び覚ます。
切り札
ゴリラ役のみが、自らの手番に出せる。パスして場を退いた後は出せない。出せばその場を即座に取り、さらに他の全員から得点札のうち最大のゴリラ札を1枚ずつ徴する(群れを率いる)。用いた札は山札に還り、点にはならない。預言者に指名されれば、必ず差し出さねばならない。
銀の背は群れの長の徴なり。其の咆哮ひとたび轟けば、王の掟も商いの理も霧と消え、飼い慣らされし同胞は長の許へと還る。
代わり札
同数の欠けた1枚を補う(同じ数字の写し)。一つの組に1枚まで。連番には用いることができず、単独では出せない。点は0である。
一房の果実は豊穣の象徴。同じ数を写す影として、組の欠けをば埋むる。されど実は喰らわれ、宴の後に残るは皮ばかりなり。
つくり
フレームワークもビルドも用いない。app/index.html を開けば、そのまま動作する。題は『商人・預言者・指導者・王 リーダーは本当に歴史を動かすのか』の「指導者」と「リーダー」を「ゴリラ」に、英語原題 Profits, Prophets, Coaches, and Kings: (When) Do Leaders Matter? の Coaches と Leaders を Gorillas に置き換えたものである。四つの語は、そのままゲームの四つの役割となる。「第三のチンパンジー」を「第三のゴリラ」に、「鉄」を「ダイヤモンド」に改めてきたシリーズの第三作にあたる。
tools/sim_balance.py によりCPU同士で数千局を対戦させ、札の枚数、各役割の能力、ゴリラの強さを定めた。経緯は SPEC.md に記す。よくある質問
かからない。無料であり、広告も課金もない。
不要である。ブラウザで開くだけで遊べる。
送られない。得点も設定もその場限りで、保存すらしていない。
意図して強くしてある。ただしゴリラの役割は1局に一度しか回らず、全員に等しく巡る。他の者は、場が膨らむ前に取り切るか、預言によってシルバーバックを奪うことで、ゴリラの専横に抗う。
2〜4人である。あなたのほかに CPU が1〜3人加わる。札の数字の範囲は人数に応じて変わる(2人1〜9/3人1〜11/4人1〜13)。
遊べる。本の内容をなぞるゲームではなく、題と問いを借りたゲームである。
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